<presented by RUSIA.s SS Temptation...?>

                                  Temptation...?




空色。

桜色。

薔薇色。

乳白色。

琥珀色。

若葉色。

夕焼け色。

・・・

・・・



目に心地良い色のハーモニー。





「・・・シドのところで?」

「ああ、悪い、ティファ。・・・構わないか?」

「うん、分かった、じゃあマリンたちとご飯食べちゃうね」

「・・・なるべく早く帰るから」

「こっちのことは気にしなくても大丈夫よ。たまにはうち以外で飲むのもいいかもね・・・?」


夕刻のセブンスヘブン。

定休日で暇を持て余していたティファの携帯へ連絡を入れてきたのは、仕事先のクラウドだった。

普段なら、店の定休日に合わせてクラウドもできるだけ仕事を入れないようにしていた。

が、どうしても得意先の都合を優先させなくてはならない時もある。

この先も仕事を回してもらうには、多少の融通は利かせなくてはならないのは仕方がない。



そして、シドのシエラ号で方々を飛び回ったクラウドは、シドに半ば強制的に家へ留め置かれたらしい。

シエラが用意した食事と酒で、たまにはクラウドをもてなしたいとシドが離さなかったとか。

電話先から、「結婚したら嫌でも四六時中顔突き合わせてんだぞ、おめえら?今から年がら年中引っ付いてたら飽きんのも時間の問題じゃねえか?」などと、

すでに酒が入ったような口調で言いたいことを言ってくる。

実際、後からクラウドに聞けば、その頃すでにシドは少々飲んでいたらしいのだが。



「ティファ、万が一遅くなったら先に寝てていいから。マリンとデンゼルにおやすみと伝えてくれ」

「うん。・・・シドにあんまり飲まないように言ってね?クラウドをここまで送ってくれるつもりなら」

「ああ、言っておく。・・・ティファ」

「ん?」

「(好きだよ)」



囁き声で伝えられたその言葉に、ティファの頬が染まるのは不可抗力だった。

シドたちの前で何言ってるのよ、と口から出掛かった途端、ご馳走さん!とシドのからかうような大声が響く。

「ティファ、じゃあ切るよ」

「うん。シエラさんにもよろしくね」

「ああ。それじゃ」

プツリと切れた携帯を前に、ティファは思わず溜息をついた。

こっちのことは気にしなくてもいいと言ったばかりだけれど。

やっぱり定休日にクラウドが一日中家にいないのは寂しいのが正直な気持ち。

でも、シドの言うとおり、今からこんな気持ちでいたら、結婚してからが思いやられるのかも知れない。

彼を縛り付けておくことはしたくないし・・・複雑な気分。



「ティファ?どうしたの、溜息なんかついて」

「・・・え?」

ダイニングテーブルに頬杖を付いていたティファは、不意に掛けられた声の持ち主を見遣った。

マリンとデンゼルが怪訝そうにこちらを覗き込んでいる。

「あ、ううん・・・クラウドが今日はシドのところで食べてくるんだって」

「ええ?そうなの?」

途端にデンゼルが口を尖らせた。

「今日はセブンスヘブンも休みだってのにさ。夕飯くらい帰ってきて欲しかったよな」

「・・・でもシドだってたまにはクラウドと飲みたいんじゃないかな?ねえティファ?」

「うん?」

「シドだってクラウドのお仕事を手伝ってくれているんだし。仕方ないよね?たまには」

「・・・そう、だね」

マリンの方がよっぽどクラウドの仕事を理解しているのかな、なんてティファは苦笑するしかなかった。

「さあ、ご飯にしちゃおうか?手伝ってくれる?」

「はーい!」







そして今、ティファは一人カウンターの中に佇んでいる。

子供たちも寝静まったはずの夜10時過ぎ。

どれだけの溜息が店の空気に溶け込んでいったのか、もはやティファ自身にも分からない。

暇つぶしに思いついたのが、新しく仕入れたカクテルレシピを見ながらの練習だった。

最近セブンスヘブンでは女性客もちらほら姿を見せるようになっている。

女性が喜びそうな酒類、特にカクテルが少ないと判断したティファは、女性でも飲みやすい甘口のカクテルを中心としたレシピを街で仕入れてきたのだ。



カウンターの上には、レシピのページをめくりながら思いつくままに作った色とりどりのカクテルが並んでいる。

普段よりも落とした照明の光を受け、静かな空間の中、夢のように甘い世界を浮かび上がらせていた。

寂しさ故の溜息と。

目の前のうっとりするような光景に対する溜息と。

2つが混じり合って再び薄暗い空間に溶け込もうとしたとき、店の扉が開いた。



「ただいま」

「・・・あ、おかえりなさい!」

ティファがカウンターを出てクラウドの元へ駆け寄るのと、彼が両腕を彼女へ伸ばすのが同時だった。

「・・・待った?」

「・・・うん。待ちくたびれちゃった」

「悪い・・・顔、見せて」

クラウドの腕の中でティファが顔を上げると、途端に舞い降りてくる粉雪のように優しく軽いキス。

「何してたんだ・・・?店は休みのはずだろ」

「うん・・・退屈だからカクテル作り」

「カクテル?」

クラウドはゴーグルを外し、カウンターに並ぶカラフルなグラスを目を細めて見遣った。

「・・・新しいレシピ?」

「そう。女性向けのレシピを仕入れてきたの。今日はその練習」

「そうか。・・・味見役、必要だろ?俺で良ければ」

「え?・・・でもクラウド、もう散々飲んできたんでしょ?飲みすぎじゃない?女性向けって言っても度数高いの結構あるし」

「折角の店の定休日を何もしないまま終わるのも勿体無いだろ?ほら、カウンターに入って」







「・・・これは?この空色の・・・」

「ねえクラウド・・・もうよした方がいいんじゃない?」

クラウドがカウンターに座ってからすでに1時間近く経っている。

甘口のものが多いとは言え、強い酒も多く混ざっていたから、普通の客なら大抵は泥酔状態になっているはずの量だった。

クラウドだからかろうじて意識を保っていられたと言っても過言ではない。

「なあ、・・・ティファもこっち座って付き合えよ」

「え・・・私はいいよ」

「折角の店の定休日を何もしないまま・・・」

「わ、分かったわよ、私も座ればいいのよね?」



さっきと同じ台詞を繰り返そうとするクラウドは、明らかにいつもと様子が違う。

酔っ払ったクラウドなんてこれまで一度も見たことはない。

しぶしぶながらもカウンターを出て、クラウドの隣のスツールへ腰掛けようとした。

が、一瞬の隙に隣から伸びてきた腕がティファの腰に絡みつく。

「えっ・・・ちょっと!」

時はすでに遅し。

気づくとティファはクラウドの膝の上へ乗せられていた。

酔っているのかと思ったが、ティファを抱き寄せる腕の力は強く、振り解けそうにない。

「何してるの・・・?降ろしてくれなきゃ私お酒付き合わないから」



間近に迫ったクラウドの顔を見ると、その瞳はいつもの空色よりも濃く深く、凪いだ海のようにティファを吸い込もうとしていた。

「・・・本当に酔っ払っちゃったの、クラウド?」

「・・・酔ってない」

「だったらこの手、離して。もう片付けるから」

クラウドはその腕に力を込め、ティファの耳元に唇を寄せた。

「・・・駄・・・・・・目」



首筋に掛かる吐息にびくっと身体を竦めたティファは、その声の甘さに驚いて彼をまじまじと見つめてしまった。

もうこれは、完全に酔っている。

そのとろんとした瞳は色気を放ち、下手するとこちらまでその甘い囁きに取り込まれ、酔ってしまいそうになる。

こんな時、どうすればいいんだろう。

酒に飲まれた恋人を目にしたことのないティファは、かつてない経験に戸惑いながらあれこれと思いを巡らせた。



「なあ、これ・・・俺を思い出して作った?・・・空色、してる」

目の前の空色のカクテルをおぼつかない指先で指し示しながら、クラウドが囁くように呟いた。

「そんなこと・・・ないわよ。この色のカクテルなんてたくさんあるでしょ?その度にクラウドを思い出してたら仕事にならないじゃない」

実際、帰らないクラウドを思い描きながら作ったカクテルではあったが、こんな状態の彼にそんなことを言えば火に油を注ぎそうだった。

「じゃあ・・・こっちはなんて言うカクテル・・・?」

「これは・・・ええと・・・そう、ハンター」

「ハンター・・・ってことは、ユフィみたいなものか・・・マテリア・ハンター、だろ」

「え?あ、そうじゃなくって、同じハンターでも都会のハンターのことらしいわよ」

「・・・都会・・・の?そりゃあいいな。・・・これは頂いておこう」

「もう、ほんとに飲みすぎ・・・」

止めようとした時にはすでに「ハンター」はクラウドの喉に流し込まれていた。

「それかなり強いんだよ?身体壊しても知らないから」

「・・・ああ・・・・・・気分・・・いいな」

・・・頭痛くなってきた。

ティファはクラウドを止める術も持たず、彼の膝に乗っかったままの微妙な姿勢で、色気を増した彼の顔をすぐ目の前に見下ろすしかなかった。



「これ・・・次はこれだな。チョコレート・・・みたいな」

「・・・」

「ティ〜・・・・・・ファ?」

アルコールの香りに満たされた彼の吐息に、ティファはくらくらと眩暈を覚えた。

「わ、分かったわよ!これはね、ハッピー・マリッジ。チョコレートと牛乳とブランデーと・・・」

「知ってる、か?」

「・・・何を?」

「昔話にある・・・男が女の元を訪れる時、その前にチョコレートを飲んでいたって・・・逆に女が男にチョコを贈るのは、・・・それなりの深い意味が・・・」

「ばっ、馬鹿!そんなのどこで仕入れてきたのよ?」

「さあ・・・でもハッピー・マリッジなら結婚前の俺たちにぴったりだよ・・・な」

鎖骨に口づけが落とされた。

その乾いた熱っぽい唇の感触と、自分の口元をくすぐる彼の髪の香りに、ティファの身体は竦み上がった。

今のうちに彼を止めないと手に負えなくなる。

けれど、腕はがっちりと自分の腰に絡んで離れず、その瞳の力でこちらの抵抗力を萎えさせ、さらに甘やかな吐息で思考力までも狂わせようとする。

酔ったクラウドに唇を掠められでもしたら、完全に彼のペースに巻き込まれてしまうのは目に見えていた。



「次はこれ・・・これは何て・・・?」

「・・・これは・・・確か、テンプテーション・・・あ、ううん、違・・・」

失言と思い慌てて訂正しかけたが、クラウドは確実に彼女の言葉に食らいついてきた。

「テンプ・・・テーション。・・・・・・誘ってる、のか?俺を・・・」

「え?!ちょっと、勘違いしないでよ、これはレシピにあったから作っただけで別に・・・」

彼の指が、言い訳をするティファの髪をゆるゆると梳いた。

「・・・・・・可愛い・・・な」

彼の言葉にいちいち敏感に反応してしまう自分が恨めしい。

こんなに酔った状態で零れた言葉なら、きっと明日にはきれいさっぱり忘れてるに違いない。

違いないのに・・・・・・どうしてだろう。さっきから心臓が早鐘のように音を立てている。



「甘いのが多いな・・・辛いの、ないか・・・?」

「女性向けだから仕方ないよ・・・あ、これなんかどうかな。ワン・エキサイ・・・」

・・・ああ。

誤解されるネーミングが多いのは何故?

途中まで言いかけて口を噤んだティファを、クラウドが重たそうに瞼を持ち上げながら見つめた。

「ワン・エキサイ・・・?その後は?・・・なあ」

言うまで勘弁するつもりはないらしい。

もう半ば開き直った気分のティファは、大袈裟に溜息をついて見せた後、こう言い放った。

「ワン・エキサイティング・ナイト」

クラウドの反応は、予想と寸分違わずだった。

口端を持ち上げ、その瞳に確実に彼女を捕らえている。

もうこれ以上言い訳したって今の彼には届かないだろう。

ティファはひたすら唇を防御することだけを考え始めていた。

そんな彼女の思惑を知ってか知らずか、クラウドは色の付いた酒を端から底なしのように喉へ流し込んでいく。



時はすでに11時半を過ぎていた。

「ねえクラウド。・・・もういい加減疲れたでしょ、この体勢・・・?」

「・・・全然」

「・・・」

「それより、これ、・・・・・・これは?」

「・・・ね・・・ネイキッド・レディ」

すでにティファの抵抗力は果てしなくゼロに近づいている。

彼女が告げるカクテルの名前に彼がその不敵な笑みを濃くしていく、その繰り返しに入っていた。

作ってからだいぶ時間のたったカクテルは、氷の入ったものは殆ど溶けてしまい、味も本来の旨みを失っていることは明らかだった。

が、そんなことは今のクラウドにはどうでもいいことらしい。

ひたすら、最愛の彼女の柔らかな感触と、理性を狂わすアルコールの刺激に楽しみを見出している、そんな表情だった。



「最後はこれ。・・・これもきっと面白いネーミングなんだろうな・・・?」

片っ端からグラスを空けてしまったクラウドは、彼女が口を開く前にさっさと最後のグラスを飲み干した。

「はー・・・・・・ティファを抱き締めながら飲む酒・・・。幸せすぎて頭がくらく・・・・・・くらくらす・・・」

「ちょっとクラウド・・・?ほんとに大丈夫なの?」

言葉どおり頭をくらくらと揺らせたクラウドは、ティファの肩にこつんと額を押し当てた。

・・・これじゃ普段と逆じゃない。

呆れてそんなことを心中で呟いたが、酔っ払った彼もこれはこれで可愛い・・・と思ってしまったティファは、すでに彼のペースに巻き込まれているのだろう。

「これはね・・・ソウル・キッス。魂が震えるような熱〜いキッス・・・って書いてあるわ」

もう聞こえてないだろうと甘く見ていたティファは、途端に頭をもたげたクラウドの瞳の鈍い光に驚いて身体を硬直させた。

「だ、駄目・・・!」

何が駄目なのか。

自分でも良く分からないまま、ティファは首をひたすら横に振る。

「・・・以前にも・・・俺言ったはずだろ・・・?女の子の言う「嫌」は「良い」のうちだって・・・」

「そ、そんなこと知らないけど・・・!とにかく駄目なものは駄目なんだから!ねえ、降ろして?あ、こら・・・」



聞く耳を持たないというのはこのことを言うんだろう。

クラウドの熱い唇が、ティファの首筋を所構わず滑っていく。

それも、キスまでいかない、触れるか触れないかという吐息混じりのくすぐるような動き。

「・・・ねえ・・・本当に・・・勘弁して?」

震える声を発したティファを、動きを止めたクラウドがじっと見上げた。

「・・・唇に・・・・・・したい」

「・・・・・・だから、駄目」

「・・・どうしても?」

「・・・どう、しても」

彼の視線はすでに彼女の桜色の唇に集中している。

その揺れる水面のような瞳に、ティファは心の底から魅入られていた。

拒絶の言葉とは裏腹に。



「・・・・・・仕方ない・・・な」

「・・・え?」

突然のクラウドの言葉に、ティファは戸惑って目を瞬いた。

「ティファが嫌・・・がること・・・は、・・・俺もしたくな・・・い」

重たい瞼を懸命に持ち上げながら甘く低い声でそう囁く彼は、眠いのを必死で我慢している子供のようであどけない。

「べ、別に嫌って訳じゃない・・・けど」

ああ・・・私ってやっぱり彼には勝てない。

こんな彼に見つめられて抵抗できる人がいたらお目に掛かりたいわよ・・・。

「本当に・・・?無理、してない?」



こくりと小さく頷いたティファの唇は、あっという間に塞がれていた。

それでも、酔っているためか、普段の責め立てるような情熱的なものとは違い、寄せては返す波のようにゆったりと静かなキスだった。

また私の負け・・・まだグラスも片付けてないのにな。明日は早く起きてマリンたちに見つからないうちに片付けなく・・・ちゃ・・・・・・え?



深くなりつつあったキスのペースが一段と遅くなったと思った途端、動きを止めたクラウドの唇はやがてティファの頬を滑り、再び額が肩の上に落ちた・・・。

「クラウド・・・?・・・嘘、寝ちゃったの・・・?」

返事はなく、やがて静かな寝息が聞こえてきたのにはティファも呆然としてしまった。

あそこまで・・・その、ねだっておいて、途中でやめるってあまりにも勝手じゃない・・・?

今更言ってみたところで、夢の世界にいるらしい彼の耳には届かない。



あんなに強固だったクラウドの腕は気の抜けるほど簡単に外れ、ティファは彼の身体をふらふらしながらリビングのソファまで運んだ。

枕を頭にあてがい、毛布を掛け、床にぺたんと座り込んで彼の枕元に頬杖を付く。

横になったクラウドの寝顔は、やっぱり何度見ても少年のようでいつまでも見ていたくなる。

「もう・・・明日起きたらお説教だからね?」

つん、と彼の鼻の先を突付く。

「・・・ん・・・・・・」

眉根を寄せて猫のように丸まった彼に、思わずくすくすと笑いを零した。

「こんな姿見せられるの、私限定だもんね・・・?おやすみなさい、ぐっすり眠って」

起こさないように彼の金糸のような髪をそっと撫でているうち、ティファの瞼も重くなっていく。

シャッター・チャンスなんだけどな・・・カメラ・・・取りに、行か・・・なきゃ・・・。







名前を呼ばれた気がして、ティファは瞼を持ち上げた。

いきなり視界に飛び込んできた恋人のスカイブルーの瞳に驚いて、彼女は慌てて身を起こした。

「・・・あ・・・クラウド」

「なあ、・・・俺、昨日どうしたんだっけ?」

「え・・・?」

時計を見上げると、朝の5時だった。

いつの間にか一晩眠り込んでしまったらしい。

すっかり足は痺れ、座り込んだまま動けなくなっていた。

クラウドに掛かっていたはずの毛布はティファの背を温めている。



「俺・・・確か帰ってからまた飲んだんだよな?ティファがカクテル作ってるって言って・・・」

「やっぱり憶えてないんだ・・・?そっか・・・」

「・・・ティファ?」

「あ・・・ううん、クラウドは酔っ払っちゃってそのまま寝ちゃったの。うん、それだけ・・・」

何故か焦ってしまって適当に嘘をついた。

ううん、これは嘘じゃないよね。

その他のいろんなことは・・・思い出しただけで恥ずかしくなる。

頬を染め上げたティファを見て、クラウドは首を傾げた。

「ティファもずっとここで眠ってたのか?・・・悪い、付き合わせて」



首を振るティファにクラウドは顔を近づけたが、彼女は思わず脇を向いた。

「・・・ティファ?やっぱり俺、昨日なんかした・・・?」

「してないよ・・・うん、別に何も」

「だったら。おはようのキス」

「駄目」

「・・・どうして」

「だって・・・!途中で止められる私の身にもなっ・・・・・・」

慌てて口を噤んだが、クラウドは驚いたように目を瞬いた。

「途中で止める・・・?それってどういう・・・」

「え、あ・・・その・・・」

・・・私のバカバカバカ!

こんなとこで口滑らせるなんて・・・!



しかし、クラウドの脳内は彼女の予想を上回っていた。

「・・・・・・なあ、それって・・・最後までいきたいってことか?朝っぱらから?」

「・・・!!!そ、そんなこと誰が・・・!」

「そういう意味にしか取れないと思うけどな・・・?ティファがそんなに積極的だと俺も・・・・・・参る」

勝手に解釈して微かに頬を紅くするクラウドに、ティファは頭を混乱させて彼の膝をバシバシと叩く。

「もう、クラウド・・・!」

壁の時計にちらっと視線を投げたクラウドは、再びティファを見つめたと思いきや、両手を差し出した。

「まだ時間あるし、ティファのご要望に応えようか」

「え?!馬鹿、駄目だってば・・・!」

「痺れて立てないんだろ?俺が運んでやる」

「ちょっ・・・ねえ、誤解だよ!」

「今更遅い。俺をその気にさせといて」



ティファを抱えて階段を上るクラウドの耳には、もはや彼女の言葉は届かない。

やがてベッドを背にした彼女の唇に、キスの嵐が降り注ぐ。



もう、観念するしかなさそうだ。







FIN





るしあさん(scrap edge)宅の20000打記念フリーSSを掻っ攫って参りました!

見て見て、このクラウドの妖艶な酔いっぷり…死ぬかと思いました。。。
今なら一発ボディブロウかまして拉致できるかもしれない。

柊の目は今とても危険です。近寄らない方が身のためです。

そして犯罪的なティファの可愛さ…!!
キスされたら抗えないと必死に唇を死守する仕草がたーまーらーんー!
そしていざ引かれたら…いやんもう!やっぱ欲しいんじゃーん!(爆)
素直じゃないなぁ、テ・ハ♪可愛すぎるからっ!!
彼女はクラにしか酔ってないので拉致ることは不可能です。
うーーーん!残念無念

クラだけで遊ぶとします。

るしあさん、ありがとうございましたーー!!!

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